第3回 経済学
第3回 経済学
今回の目的は先物取引の目的を理解することである。以下に内容を具体的に並べた。
まずは、具体例として鉄を購入したいE社の状況が以下のような場合で考える。実需と投機という概念
鉄 | 現物価格 | 先物価格 |
---|---|---|
4月1日(本日) | 70万円 | 80万円 |
翌年4月1日(満期日) | 100万円(予想) |
E社はこれまでの経験から値上がりを予想した。 この契約によってE社は購入コストの増大リスクをヘッジ(買いヘッジ)したことになる。しかし、このときのF社は満期に100万円まで上がる予想があるのに、その時期に20万円の損をする注文をしたのはなぜだろう??実需関連ならばF社は高く売りたいはずである。 つまり、F社の目的は投機である。先物取引では今回の商品である"鉄"を所持していなくても鉄を売る契約をすることができる。先物価格は変動する。実際に6月1日に先物価格が72万円まで下がった。としよう。 F社 「翌年4月1日に72万円で鉄を買う」(単純取引) このような役割をするのを投機筋といい、先物取引には必要で重要な役割を果たしている。 満期日当日になると(先物取引の価格)=(現物取引の価格)となる。ここで、仮に、(先物価格)>(現物価格)となったときがあった場合、そのときに「先物を売って現物を買う(すなわち安く買って高く売る)」とすれば確実に利益を得ることができる。このことを裁定取引という。 では、なぜ「満期日当日になると(先物取引の価格)=(現物取引の価格)となる」のだろうか... それは裁定取引を知っている人が多いので、(先物価格)>(現物価格)となると これが投機的な注文がなくなるまで続くので満期日当日になると(先物取引の価格)=(現物取引の価格)となる。 具体例で計算する市場にこのE社と他のF社が以下の注文を市場に出したとする。
→差金決済により、8万円を受け取ることができた。しかしこれは利益を得られる保証はなかったことに注意しなければならない。
先物価格と現物取引の連動性
裁定取引について
先物価格 | 現物価格 | |
---|---|---|
4月1日(本日) | 100万円 | 80万円 |
10月1日(満期日) | \(x\)円 | \(x\)円 |
確実に利益を得る取引裁定取引が存在する
現物との裁定取引 | 先物価格 | 現物価格 |
---|---|---|
4月1日(本日) | 100万円で売る | 80万円で買う |
10月1日(満期日) | \(x\)円で反対売買 | \(x\)円で売る |
損益 | \(100\)万-\(x\) | \(x-80\)万円 |
つまり、\(x\)がいくらであっても\(20\)万円が確保できる。なお、4月1日の取引だけでも裁定取引である。 この種の注文は利益が出ないことがわかるまで、つまり先物価格と現物価格が等しくなるまで続く。だから最終的には常に先物価格と現物価格が一致するように力が働く。 一般に、満期日は複数存在するので先物価格も複数存在する。
先物取引のいろいろ
スプレッド取引
本日4月1日 | 先物 | 先物価格 |
---|---|---|
6月1日(満期日) | 6月物 | 95万円 |
9月1日(満期日) | 9月物 | 90万円 |
- (6月物を基準として)9月物は85万円であるべきだが90万円かあ..高いなあ..
- (9月物を基準として)6月物は100万円であるべきだが95万円..安いな
のどちらかを思い浮かべるだろう。 仮に1.と考えたとしよう。そのときの投機筋は 投機筋「ならば、高い方(9月物)を売って安い方(6月物)を買おう。そして適正な価格差が実現したところで反対売買をすればいい!」と考える。
スプレッド取引 | 6月物 | 9月物 |
---|---|---|
4月1日 | 95万円で買う | 90万円で売る |
5月23日 | 89万円で反対売買 | 79万円で反対売買 |
差金 | -6万円 | 11万円 |
この場合、差金の5万円の利益となる。しかし、適正な価格差が実現する保証はないので裁定取引ではないことに注意しなければならない。
投機筋の売りヘッジ、買いヘッジ
投機筋でも売りヘッジと買いヘッジが存在する
投機筋の売りヘッジ | 現物取引 | 先物取引 |
---|---|---|
4月1日 | 120万円で買う(値上がり期待) | 130万円で売る |
6月1日 | 約定価格100万円 | 110万円で反対売買(連動性) |
評価損20万円 | 差金20万円 |
評価損とほぼ同じくらい(下がるor上がる)