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第2回 統計力学

 

 

第2回 統計力学

今回の目的は以下の4つであった。


 

ミクロカノニカル分布

ミクロカノニカルアンサンブル(以下m.c)はエネルギーE、体積V、粒子数Nを固定して考える。エネルギーE~E+dEのミクロな状態の数をW(E)とすると \[ W(E)=\frac{1}{h^N}\int\delta(H(\Gamma)-E)d\Gamma\equiv D(E)\Delta E \] とかける(D:状態密度)。これより等重率の原理から \[ P_{mc}(\Gamma)=\frac{1}{W(E)}\ \ (E< H(\gamma)< E+\Delta E) \] となる。これより熱力学ポテンシャルはm.c.の場合、エントロピーである。それは \[ S(E,V,N)=k_B\ln W(E,V,N) \] で表せる。

微分の関係を使って \[ dS=\frac{1}{T}dE+\frac{p}{T}dV-\frac{\mu}{T}dN \] と以下の式の係数比較を利用、それぞれの物理量を得ることができる。 \[ dS=\left(\frac{\partial S}{\partial E}\right)_{V,N}dE+\left(\frac{\partial S}{\partial V}\right)_{E,N}+\left(\frac{\partial S}{\partial N}\right)_{E,N}dN \]


カノニカル分布

カノニカルアンサンブルは温度T、体積V、粒子数Nを固定して考える。エネルギーがH(Γ)、またはε_kとなる確率は \[ P_c\propto e^{-\beta H(\Gamma)}\ \ \ \ or\ \ \ \ P_c\propto e^{-\beta\varepsilon_k} \] となる。このときは状態数の代わりに分配関数が与えられている。それは \[ Z(T,V,N)=\sum_k e^{-\beta\varepsilon_k} \] \[ Z(T,V,N)=\frac{1}{h^{d'N}}\int e^{-\beta H(\Gamma)}d\Gamma \] である(d':次元数)。ex)粒子Nつの3次元空間ならd'=N×3=3N次元

熱力学ポテンシャルはカノニカルアンサンブルの場合、ヘルムホルツの自由エネルギーである。 \[ F(T,V,N)=-k_BT\ln Z(T,V,N) \] ここでヘルムホルツの自由エネルギーは \[ F=E-TS \] と表せることから全微分の関係より、以下の式の係数比較を利用、それぞれの物理量を得ることができる。 \[ dF=\left(\frac{\partial F}{\partial T}\right)_{V,N}+\left(\frac{\partial F}{\partial V}\right)_{T,N}+\left(\frac{\partial F}{\partial N}\right)_{T,V} \] \[ dF=SdT-pdV+\mu dN \]


グランドカノニカル分布

グランドカノニカルアンサンブルは温度T、体積V、化学ポテンシャルμを固定して考える。エネルギーがH(Γ)、またはε_kとなる確率は \[ P_{g.c}\propto e^{-\beta(H(\Gamma)-\mu N)}\ \ \ \ or\ \ \ \ P_{g.c}\propto e^{-\beta(\varepsilon_k-\mu N)} \] となる。このときは分配関数の代わりに大分配関数が与えられている。 \[ \Xi(T,V,\mu)=\sum_{N=0}^\infty Z(T,V,N)e^{\beta\mu N}=\sum_{N=0}^\infty\sum_{k} e^{-\beta\varepsilon_k}e^{\beta\mu N} \] \[ \Xi(T,V,\mu)=\sum_{N=0}^\infty\frac{1}{h^{d'N}}\int e^{-\beta(H_N(\Gamma_N)-\mu N)}d\Gamma_N \] である(d':次元数)。ex)粒子Nつの3次元空間ならd'=N×3=3N次元

熱力学ポテンシャルはグランドカノニカルアンサンブルの場合、グランドポテンシャルである。 \[ \Omega(T,V,\mu)=-k_BT\ln \Xi(T,V,\mu) \] ここでグランドポテンシャルは \[ \Omega=F-\mu N\ \ \ (=PV) \] と表せることから全微分の関係より、以下の式の係数比較を利用、それぞれの物理量を得ることができる。 \[ d\Omega=-SdT-pdV+Nd\mu \] ex)粒子数(の平均値) \[ N=-\left(\frac{\partial \Omega}{\partial \mu}\right)_{T,V} \]

今までは平均の定義より \[ < N>=\sum_{N=0}^{\infty}NP_{g.c}(\varepsilon_k,N)=k_BT\frac{\partial}{\partial \mu}\ln\Xi(T,V,\mu) \]


ボース分布関数、フェルミ分布関数

古典統計と量子統計の違い

 

古典統計力学は(Alice,Bob,Charlie,Daniel,…)がどこ(k)に座っているか?
座席kに誰が座っているか?
を考える。

 

 

量子統計は、人々が区別できず、座席kに何人座っているかさえ指定するだけで良い。

まずラベルkがついた席に座っている人数n_kを求める。状態kを占有する(平均)粒子数< n_k>は \[ < n_k>=\frac{1}{\exp[\beta{\varepsilon_k-\mu}]\pm1} \]

  • ボース統計

    上式の符号は負

    \[ n_k=0,1,2,3,... \]
  • フェルミ統計

    上式の符号は正

    \[ n_k=0,1 \] (パウリの排他率)
 


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